約 2,422,190 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1156.html
「・・・ギ・・・ギアッチョ・・・?」 何がなんだか分からなかった。どうして?どうしてギアッチョが?私を 笑いに来たんじゃないの?それなら何故?私との違いを見せ付けるため? それともただ暴れたいだけ・・・? ルイズの頭には疑問符が次から次へと浮かんでいた。ギアッチョの真意が 分からない。それを確かめようと、ルイズは恐る恐るギアッチョの顔を 見上げようと―― グイッ!! 「!?」 ルイズが顔を上げようとした瞬間、ギアッチョの手によってルイズの頭は 下に押し戻された。 「・・・出たんだろ?ルイズ このガキとぶつかった時に・・・『鼻血』がよォォ そんなみっともねーツラをこいつらに披露してやるこたぁねーぜ」 いつの間にか3人の周りには人だかりが出来ていた。そしてルイズは ハッと思い出した。自分の顔が、涙でぐしゃぐしゃだったことを。 本気だ。ギアッチョは、本気で私の為に行動してくれている。 ルイズはようやく気付いた。 ――ギアッチョは・・・私の味方なんだ・・・ こんなことになっても・・・ ギアッチョは味方でいてくれるんだ・・・! 我知らず起こる肩の震えを、ルイズは止めることが出来なかった。彼女の 宝石のような瞳から、今度こそ堰を切って溢れてきた涙と同様に。 「それで?そこのゼロのルイズの代わりに、平民の使い魔が僕の相手を 務めるっていうのかい?」 ギーシュはニヤニヤと笑ってギアッチョを見ている。 「さっきハッキリそう言ったはずだが・・・聞えなかったってワケか? え?マンモーニ ミミズを狩るのに獅子を使うのはちと贅沢だが・・・ 今回だけの特別サービスってことにしてやるぜ」 最初はヘラヘラ笑いながら聞いていたギーシュだが、次第に自分が 完全に下にみられていることに気付くと烈火の如く怒りだした。 「だッ・・・!誰がママっ子だって!?平民の分際でッ!よくも貴族に そんな口が利けたもんだね!!一つだけ言っておくが・・・決闘で 死んだとしてもそれは合法だ!!手加減してやるつもりだったが・・・ 無事にゼロの元へ戻れると思わないことだねッ!!」 ギーシュは忘れていた。昨日、自分達を縮み上がらせた彼の殺気を。 そしてルイズの爆発を恐れて遠巻きにサモン・サーヴァントを見ていた 彼には、ギアッチョがルイズを殺しかけたあの場面はせいぜい 「混乱した平民がゼロのルイズを押し倒した」程度にしか見えなかった のである。 ギアッチョが色をなくしたままの眼でギーシュを睨む。 「ならこっちも一つ聞くがよォォ~~ てめー『覚悟』はしてるん だろうなァ~~?オレを殺すつもりで来るってことはよォォ 逆に殺される『覚悟』は出来てるっつーワケだよなァァァ」 しかしギーシュは鼻で笑って答える。 「フン!覚悟だって?そんなものする必要はないね 何故なら 僕が負けるなんてことは万が一にも有り得ないからだ」 ギーシュの大見得にギャラリーがどっと笑う。 「そうだそうだ!」 「平民相手に遠慮するこたねーぞギーシュ!」 「身分の差ってものを教育してやれ!」 こいつらは――、とギアッチョは考えた。 ――こいつらの殆どは・・・昨日のことなんか見てもねぇし 覚えてもいねぇようだなァ~~・・・ 「ま、どっちだろーと関係ねーがな」 相手が化け物であろうと歩き始めたばかりの赤ん坊であろうと、 ギアッチョの「覚悟」に変わりはない。「覚悟」とは相手に合わせて コロコロ変えるものではない!ギアッチョはそう理解していた。 「今から5分後・・・ヴェストリの広場で待っている 言うまでもない 事だが――君が逃げれば君もゼロのルイズ同様直ちにこの 学院から退去してもらうよ せいぜい震えながらやってくるんだね」 ギーシュはそう言い放つと、ニヤニヤ笑いのまま去っていった。 ギーシュが去ると、3人を取り巻いていたギャラリーもギーシュと 一緒に広場へ向かっていった。 「ルイズ もういいぜ 頭を上げな」 ギアッチョが声をかけると、ルイズはごしごしと顔をこすって 立ち上がった。 「・・・ギアッチョ・・・」 ギアッチョは首をコキコキと鳴らしながら尋ねる。 「ルイズよォォ~ なんとかの広場ってのはどっちだ?」 「え・・・ あ、あっちよ ・・・あの、ギアッチョ・・・・・私」 ルイズが何か言おうとするが、 「話は後回しだ 5分後だからな・・・別にあいつをいくら待たせよーが 心は痛まねぇが 逃げたと思われるのも癪だからよォォ」 ギアッチョはそれを制して歩き出す。――逆の方向へと。 「・・・ギアッチョ?広場はあっち・・・」 「ルイズ おめーは先に行ってな オレはよォォ~ ちょっと 用事があるもんでな・・・ 待ってろ すぐにそっちに行く」 そうルイズに告げて、ギアッチョはどこかへ歩いていく。 「分かった ・・・待ってる」 もはやルイズは、万が一にもギアッチョの逃亡を疑わなかった。 私の為に戦ってくれるギアッチョの為に、自分に出来ることを しよう。ルイズはそう決意した。ギアッチョが戻ってくるまで、 逃げず、怯えず、うろたえず、ヴェストリの広場で待っていよう。 ルイズはスッと顔を上げると、広場に向かって駆け出した。 目的地に向かって歩くギアッチョの後ろから、「待ちなさい!」 という声がかかった。 「わりーが・・・後にしな 今は少々忙しいんでな」 しかし声の主はかまわず叫ぶ。 「あなたルイズをどうする気ッ!?」 その言葉を聞いて、ギアッチョはピタリと足を止めた。 「どうするつもりたぁ失礼なことを言うじゃあねーか ええ?おい」 肩越しに後ろを振り返ると、そこにいたのはあの赤髪の少女、 キュルケだった。 キュルケはさっきの騒ぎを最初から見ていた。二人の争いが いい加減ヤバくなってきたら仲裁に入るつもりだったのだが、 彼女の先を越して二人を仲裁したのは――更に酷いことになったが―― 意外にもギアッチョだったわけである。ルイズ共々殺されかけたキュルケが それを不審に思わぬはずはなかった。 「召喚されてそうそうあの子を殺しかけたと思ったら今度は 手のひら返したように責任を取るですって?」 キュルケは信じられないという風に首を振ると、キッとギアッチョを ねめつける。 「答えなさいッ!あなたは何者!?そしてルイズに何をする気!?」 ギアッチョはしばらくキュルケを見ていたが、やがて口を開いた。 「確か・・・てめーの家とルイズの家は・・・宿敵同士だと聞いたが」 「・・・あなた学校で習わなかったの?質問を質問で返すんじゃあ ないわッ!」 キュルケの眼は「マジ」だった。ギアッチョは小さく舌打ちをすると、 「オレが何者なのか・・・話してやってもいいが それには少々時間が 足りねーー 二つ目の質問にだけ答えてやる」 そう言うとギアッチョはキュルケに向き直る。 「答えは『別に何も』、だ ただし・・・これだけは言っておくぜ 命の恩人が侮辱されてるのを・・・黙って見ているバカはいねえ!」 「――!!」 昨日ルイズを殺そうとした男が、そして今日人目もはばからず 食堂で大暴れした男が、果たして本気で言っているのだろうか? キュルケには判断が出来なかった。ただ―― 「・・・今はその言葉で納得しておいてあげるわ」 もう少し様子を見てもいいか、とキュルケは思った。 「・・・あ、待って!」 再び背を向けて去ろうとするギアッチョに、キュルケは何かを 思い出したように声をかけた。ギアッチョは振り向かないが、 話を聞く意思だけはあるようだ。 「・・・用心なさい ギーシュはあんなのでもうちの学年じゃ かなりの上位に入る腕前よ」 ギアッチョがやられてしまえば、ルイズの人生はおしまいだ。 魔法が使えないまま使い魔を殺されて退学だなんて、ルイズで なくとも自殺を考えるほど最低最悪の事態である。しかし キュルケの忠告を、ギアッチョは鼻で笑って受け流す。 「フン・・・あのマンモーニが強かろーが弱かろーがよォォー オレには関係のないことだぜ」 「あなたフザけてるの!?ギーシュはナメてかかって勝てる 相手じゃ・・・」 「『覚悟』はッ!!」 ギアッチョはいきなり声を張り上げる。その大声にキュルケは 思わず身構えた。 「・・・オレの『覚悟』は・・・相手を選んだりはしねえーーッ! 相手がドラゴンだろーがウジ虫だろーがよォォ~~ オレは同じ 『覚悟』を持って戦いに挑むッ!!」 それだけ言うと、ギアッチョは圧倒されているキュルケを置いて 歩いていった。 「なんなの・・・あいつ・・・ 『覚悟』・・・・・・?」 「大丈夫」 突然聞えた声にキュルケが隣を見ると、いつの間に来ていたのか そこには透き通るような青い髪をした少女、タバサがいた。 「大丈夫・・・って?」 「昨日の戦闘」 タバサは短く言葉を繋ぐ。 「まだまだ力を隠してた」 「嘘でしょ・・・」 タバサの言葉は信頼出来る。キュルケは今更ながらギアッチョに 立ち向かった昨日の自分を思い出し、ゾクリと身震いした。 当たりをつけて覗いてみた食堂で、ギアッチョは目当ての 人物――シエスタを発見した。 「・・・あ、ギアッチョさん!ミス・ヴァリエールはご無事でしたか?」 メイド服の少女は食器を片付けながらギアッチョに声をかける。 デザートの配膳中にギーシュと言い争うルイズを発見し、いち早く ギアッチョに知らせたのはこのシエスタだった。 「ああ なーんにも問題はねえぜ」 「そうでしたか」 よかった、と答えて食器の片付けを続けるシエスタに、 「それはともかくよォォ~~ 一つ報告することがあってな」 ギアッチョは本題を切り出した。 「報告・・・ですか?」 「ああ まぁ大した話じゃないんだがよォォ~~~ 決闘することになった」 「・・・決闘・・・?」 ギアッチョの言った決闘の意味を量り切れないらしく、シエスタは オウム返しに同じ言葉を口にする。 「ええと・・・決闘って 誰と・・・誰がですか?」 「ああ? 誰ってオレに決まってるじゃあねーか 相手はルイズに 絡んでた・・・あー・・・そうだ、ギーシュとかいうマンモーニだ」 ・・・・・・。 どこかで見たような一瞬の沈黙の後、 ガッシャアアアアアアン!! シエスタの手から滑り落ちた3枚の皿が音を立てて砕けた。 「な、ななな何をやってるんですかギアッチョさんッ!! き、貴族と決闘だなんて 殺されてしまいます!!」 状況を理解した途端パニックに陥るシエスタをギアッチョは 片手で制して、 「落ち着けよシエスタよォォォ~~~ 死ぬのはギーシュの野郎 だぜ・・・それは決定してる オレが言いてーのはその話じゃあ ねーんだ」 口では軽く言っているが・・・ギアッチョは決して決闘を甘く見て いるわけではない。経過がどうなろうと、必ず「ギーシュを殺す」 という結果を出す。ギアッチョはそう「覚悟」しているのだ。 「シエスタ 今からよォーー 厨房の奴らを全員連れて・・・なんだ、 ヴ・・・ヴェ・・・ヴェラ・・・違うな、ヴォ・・・ヴァ・・・ヴァンダム・・・」 「・・・ヴェストリの・・・広場ですか・・・?」 「多分そいつだ そこまで来ちゃあくれねーか?咎められるよーなら 責任は全部オレが持つ」 シエスタはこの人なりの冗談なのだろうかと思った。しかしギアッチョの 眼は、悲しいほどに本気であった。 「決闘にゃあオレが勝つ・・・そいつは間違いねーんだが 別の意味で お前らを失望させちまうかも知れねえ・・・ しかしオレとお前らが同じ『平民』だと言うのならよォ・・・ こいつを 見せねーわけにゃあいかねーんだ」 さっきと同様、シエスタはギアッチョの言葉の意味を量りかねて いるようだった。しかしギアッチョはそんなシエスタの心中を忖度せず、 「頼んだぜ」とだけ言って食堂を出て行く。シエスタは一瞬逡巡したが、 「ま、待ってください!!」 やはりここでギアッチョを見送るのは、自分が殺すも同然だと思った。 「今日はよく後ろから呼び止められる日だなァァ~~ え?おい 決闘するなってんなら聞かねぇぜ 何度も言うがよォォーー オレの勝利、それだけは決定してるんだ」 「ギアッチョ・・・さん・・・」 そう言い放つギアッチョに妙なスゴ味を感じたシエスタは、それ以上 何も言うことが出来なくなった。 「おっと・・・もう決闘が始まる オレは先に行くぜ」 言うがはやいか、今にも泣き出しそうな顔のシエスタに目もくれず、 ギアッチョは食堂を飛び出して行ってしまった。 ルイズはギーシュと対峙していた。 「フフフ・・・あと大体30秒だが・・・君の使い魔はどこにいるのかな? ゼロのルイズ君」 ギーシュが心底哀れそうな声で――勿論演技だが――ルイズに語りかける。 「君の使い魔・・・随分とキレるのが早いようだが 逃げ足も速いようだねぇ プッ・・・ハハハハハ」 ギーシュはニヤニヤと笑う。それを聞いたギャラリー達もドッと笑っている。 「ギアッチョは来るわ」 ルイズはギーシュの眼を睨んだまま、短くそれだけを返す。例えどれだけ 笑われようが、どれだけなじられようが――ギアッチョは自分に待っていろと 言ったのだ。ならば自分は彼を信じて待つだけだ。 ――そうよ・・・、これが今の私があいつに返せる唯一の敬意 ならばどんな 侮辱だろうと罵倒だろうと・・・全て受け切ってみせるわッ! ルイズは知らず知らずのうちに『覚悟』していた。ギアッチョが来るまで、何が あろうと崩れないという『覚悟』を! ギーシュはなおも続ける。 「1分経過だ!おいおいゼロのルイズ!!いつまで僕らを待たせるつもりだい? 僕らだって暇じゃあないんだ!ほらほら、怖がらないで杖を取ってかかってきなよ! あの平民はもう森の中まで逃げてるかもなあ!ひょっとしたらもう森をうろつく 魔物に食われてしまっているかも!」 ギーシュの発言にギャラリーはまた爆笑する。キュルケは歯噛みしながらそれを 見ていたが、ルイズの眼に何の迷いも浮かんでいないのを知って飛び出したい 気持ちを抑えた。 ――あれが、あの平民が言っていた『覚悟』というやつなの・・・? キュルケのそんな疑問に答えるかのように、 「ギアッチョは・・・来るわ・・・!」 ルイズはただそれだけを繰り返した。そして・・・、 「やれやれ・・・ちょっとしたロスがあってよォォ~~~ ちぃとばかし遅れちまった みてーだなァァァ」 ざわつくギャラリーを掻き分けて、ギアッチョが姿を現した。 一秒たりともギーシュから眼をそむけなかったルイズは、そこでようやく全身の 力を抜いた。 「どーやら・・・頑張ってたみてーじゃあねーか え?ルイズ 後はオレに任せて そこで見てな」 またも意外なギアッチョのねぎらいである。 「お、遅いわよバカッ!」 などと照れ隠しに文句を言いながら、ルイズは非常な達成感と安心感を感じていた。 するとそこへ、 「ミス・ヴァリエール!!」 シエスタを先頭にマルトー達厨房の料理人や給仕達が駆けつけてきた。 「えーと・・・あなたは確かシエスタ・・・ こんなに大勢引き連れてどうしてここに?」 「分かりません・・・さっきギアッチョさんが食堂にやってきて 決闘をするから 見に来て欲しいと・・・」 「そう・・・ ・・・まさかあいつ・・・」 ルイズは理解した。ギアッチョはシエスタやマルトー達と対等に向き合う為に、敢えて スタンドを見せることを決意したのだ。メイジだと――貴族だと思われる危険を冒して。 今、ギアッチョはそれほどまでに仲間というものに惹かれていた。 「ようやく来たようだねぇ面白頭君 てっきりもうアルビオンあたりまで逃げ出してる んじゃあないかと思っていたよ」 ギーシュは心底愉快そうに言った。アルビオンとやらがどこにあるかは勿論知らな かったが、その挑発のあまりの陳腐さにギアッチョはキレる気にもならなかった。 「逃げる?今逃げるっつったかァ~てめー?こいつは傑作だな!ええ?おい!」 わざわざギーシュがルイズに使った言葉でギアッチョは罵倒を返す。 「このギアッチョがてめー如きに逃げる必要なんざ全宇宙を探したって見つかり そうにねーもんだがよォォォーーー 見つかるのはせいぜいてめー相手の決闘を 『やめてやる』理由ぐれーだぜ ええ?オイッ!」 ギャラリーから失笑が漏れた。ギアッチョはそのまま続けてギーシュを挑発する。 「今ここでよォォ~~~ 土下座をしてルイズに謝ってから学院を出て行きな! そうすりゃあ『命までは』とらないでおいてやるぜマンモーニ!!ええ!? やってみろよおい!!ああ!?」 ギーシュがルイズに言ったことをちょっとグレードアップさせただけのその挑発に、 ギーシュの怒りはいともたやすく爆発してしまった。 「きき、貴様ぁああーーーーッ!!!もう命乞いをしたって許さないぞッ!! 今ッ!!決闘を開始するッ!!!泣いて詫びろ平民がァーーーーーッ!!!」 「ハッ!てめーが言ったことを言い返されただけで面白いよーにキレてくれる じゃあねーかマンモーニッ!!少なくともてめーの薄っぺらくて小汚ェ精神 よりゃあよォォーー このルイズのほうがよっぽど上等な魂を持ってるぜッ!!」 ギーシュが懐から乱暴に造花の薔薇を取り出すと同時に、ギアッチョの双眸が スッと色をなくし――2人の決闘が始まった。
https://w.atwiki.jp/animeoped/pages/51.html
ゼロの使い魔~双月の騎士~ ぜろのつかいま~ふたつきのきし~ 監督:紅優 シリーズ構成・脚本:河原ゆうじ キャラクター原案:兎塚エイジ キャラクターデザイン・総作画監督:藤井昌宏 音楽:光宗信吉 アニメーション制作:J.C.STAFF オープニング テーマ曲:「I SAY YES」作詞:森由里子 作曲:坂部剛 編曲:新井理生 歌:ICHIKO エンディング テーマ曲:「スキ? キライ!? スキ!!!」作詞:森由里子 作曲・編曲:新井理生 歌:ルイズ(声:釘宮理恵) TVアニメ「ゼロの使い魔~双月の騎士~」サウンドトラック I SAY YES [Maxi] スキ?キライ!?スキ!!! [Maxi] 2007年 作品名:せ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/938.html
サブ・ゼロの使い魔 第二章 傅く者と裏切る者 ――また、あの夢だった。古びた部屋にいる、誰かになった自分の夢。 だが、今回はいつもと違った。ルイズがその夢を知覚したと同時に、全ての霧はざあっという音と共に消え去り――そしてその瞬間、ルイズは部屋にいる男達のことをまるで遥か昔から知っているように理解していた。 後ろのソファに座って仲良く話している二人・・・ソルベとジェラート。 椅子に座ってテーブルの上の変な物体を叩いている男・・・メローネ。 椅子の背に手を置いて彼の肩越しにそれを覗き込んでいるのは、イルーゾォ。 立ったまま壁に背を預けて本を読んでいるリゾットは、たまにこちらを見てはやれやれといった顔をしている。 そして先ほどから二人して自分に怒鳴り続けているのはホルマジオとプロシュート。 二人がかりの説教を喰らっている自分は・・・そう、ギアッチョだった。 「ギアッチョッ!何度言ったら分かるんだてめーッ!!」 プロシュートが上半身を乗り出して怒鳴っている。 「しょーがねーなぁぁぁ これで何冊目だっつーんだよギアッチョさんよォォ」 右手に持った本だったものの残骸をバンバンと叩きながらホルマジオもプロシュートに加勢するが、当のギアッチョはどこ吹く風で受け流す。 ・・・というか全く聞いていない。 「何で3ページで打ち切りになるんだよォォォ~~~ッ!! ナメてんのかオレをッ!!クソッ!クソッ!!まそっぷって何だ!バカにしやがって!!」 イルーゾォが呆れた顔でプロシュート達を見る。 「だから言ったじゃあないか・・・ギアッチョにだけは物を貸すなってよォー」 「そのくらい諦めるんだな オレなんてパソコンを破壊されてるんだぜ」 同じく顔を上げたメローネはそう言って首を振った。ソルベとジェラートはそんな彼らをニヤニヤ笑いながら眺めている。 「外野は黙ってろッ!今日という今日は許さねぇぜギアッチョ!」 「仲間に対する敬意ってもんが足りねーんじゃあねーか?オイ」 プロシュート達の怒りは全く収まらないようだった。 「やれやれ・・・ お前達・・・その辺にしておけ そんなことをいくら言おうがギアッチョには通じないことぐらい知っているだろう」 パタンと本を閉じて、リゾットがリーダーらしく彼らを制止する。 プロシュートとホルマジオは「甘いぜリゾット」という視線を彼に向けるが、リゾットが続けて「ギアッチョ、お前は弁償しておけ」と言ったのを聞いてとりあえずその場は収めることにした。ギアッチョはその言葉に不満げな表情で財布を出し―― ――場面が飛んだ。 ギアッチョの前には古びた扉がある。決まったリズムでそれを叩くと、少ししてから軋んだ音を立てて扉が開いた。 「仕事は終わったぜ、リゾット」 扉を開けたリゾットにそう報告して、ギアッチョは中に入る。 彼に続いてメローネが入ってきたのを確認して、リゾットは彼らにねぎらいの言葉をかけた。 「・・・ま、今回もくだらねー仕事だったがよォォ どうせやるならもう少し面白みのあるやつを回してもらいてぇもんだ」 とギアッチョが言えば、 「簡単なのに越したことはないさ・・・ こんなはした金で命を捨てたくはないからな」 タッグを組んでいたメローネがそう答える。ギアッチョはフンと鼻を鳴らすとどっかりと椅子に腰を落とした。 と、ウヒャヒャヒャヒャという聞き慣れた笑い声が場に響き、ギアッチョ達は声を発した男に目を向ける。 ホルマジオはイルーゾォと机を挟んで向かい合っていた。 二人の横にはプロシュートが陣取り、奥のソファには相変わらずソルベとジェラートが座っている。 そして彼ら全員の視線が集まっているのは、テーブルの上にあるチェス盤だった。 ホルマジオは盤からイルーゾォに視線を移して言い放つ。 「チェックメイトだ オレの勝ちだぜイルーゾォ!」 「バ・・・バカな・・・ただのポーンなんかにィィィ!」 イルーゾォが信じられないという顔で叫ぶ。 「クハハハハハハッ!分かってねェーなァァ チェスって奴をよォォー! 駒の強さなんてもんは所詮ここの使い方一つだぜェェ~」 ホルマジオは人差し指で自分の頭をトントンと叩きながら言った。 「クッ・・・クソッ!再戦だ!もう一度やらせろ!」 「ダメだね ほら!とっとと賭け金をよこしなよイルーゾォよォ~!」 イルーゾォの願いをホルマジオはあっさり跳ね除けた。イルーゾォはしばらくの間「再戦の拒否は許可しないィィィー!」等と叫んでいたが、結局彼のスタンド、リトル・フィートにガッシリ押さえ込まれて財布から二割増しで金を抜き取られていた。 「やれやれ どきなイルーゾォ オレが仇をとってやるよ・・・なぁに、ボードゲームは得意なんだぜ」 メローネが自信たっぷりに椅子に座り、 速攻で敗北した。 部屋の隅で頭を抱えているメローネを尻目にギアッチョが挑み、敗北。プロシュートが挑み、敗北。ソルベが挑みジェラートが挑み・・・ 敗北。敗北。敗北。 「てめーイカサマやってんじゃねーだろーなァァーー!!」 「何逆ギレしてんだオイ!しょぉぉがねーなァァアァ!」 度重なる敗北についにギアッチョがブチ切れた。 その瞬間、今がチャンスとばかりにプロシュートがホルマジオを蹴っ飛ばし、そのスキにソルベとジェラートが彼に飛び掛り、イルーゾォが一瞬でその財布を奪い取り、メローネが皆の取り分を計算して分配した。 「ちょっ・・・何やってんだてめーらァァァ!!」 「うるせェェェ!勝負になるかボケッ!!」 七人はギャーギャーと騒ぎ続け、リゾットはそれをいつものことだというような眼で見つめていた。 そしてもう一人、ギアッチョの眼を通してルイズもまた彼らを見つめている。 喧嘩ばかりしているが、ルイズの眼には彼らはとても楽しそうに見えた。 常に四面楚歌で命のやり取りをしているからこそ、きっと彼らは死よりも強い絆で結ばれているのだろう。 バカ騒ぎを続ける彼らを、ルイズの心は羨ましそうに見つめていた。 そうしてルイズの夢はいくつもの場面を映し出す。しかしその内容は、徐々に不穏の色を帯びて来た。 場面が過ぎる度に、自分達の理不尽な待遇に、彼らのボスに対する不満は高まって行くのだった。 そして幾度目かの場面転換の後――ついにそれは起こった。 ドンドンドンドンドンドンッ!!! アジトの扉が猛烈に叩かれる。中で待機をしていたギアッチョとメローネ、そしてリゾットとプロシュートは一斉にスタンドを発現させた。 「おいッ!!開けろ・・・!!大変なんだよ!!ジェラートが殺されたッ!!」 「リゾットッ!!オレだ、ホルマジオだッ!!早くここを開けろォォォ!!」 決められたノックをしないことにリゾット達は不審を抱いていたが、その声はどう聞いてもイルーゾォとホルマジオだ。そして彼らが口にした言葉は、彼らにとってこれ以上なく衝撃的なものだった。 プロシュートのザ・グレイトフル・デッドを使って扉を開ける。最初に転がり込んできたイルーゾォの襟首を、ギアッチョが強引に掴んで引き上げた。 「てめーイルーゾォ!!タチの悪い冗談はやめろッ!!」 ギアッチョが人を殺しかねない剣幕で怒鳴る。しかしイルーゾォは苦渋に満ちた顔で答えた。 「嘘じゃない・・・!!『罰』と書かれた紙を身体に貼り付けて・・・ッ!!」 サイレントの魔法がかかったかのように、その場は静まり返った。 ――・・・そんな・・・嘘・・・ ルイズは崩れ落ちそうになった。勿論、今はリプレイされるギアッチョの幻に宿るただの意識である彼女には不可能なことであったが。 ギアッチョの仲間は、リーダーを除き全てが死んだ・・・それは理解しているはずだった。 しかしギアッチョを通して幾つもの場面を共有した今、ルイズに彼らの死を無関心に眺めることなど出来るはずがない。 だがそんな彼女の気持ちなど一顧だにせず、場面は無情に進んで行く。 ジェラートは自宅のソファで、恐怖に顔を引き攣らせて絶命していた。 「ジェラート・・・おいジェラートッ!!」 プロシュートがジェラートを揺さぶる。リゾットは彼の肩を掴んでそれを止めた。 「やめろ・・・プロシュート ・・・ジェラートはもう死んでいる」 「クソッたれがッ!!」 プロシュートは怒りを吐き捨てて立ち上がった。逆にメローネは、その場にがっくりと膝を落とす。 「・・・ボスだ・・・ボスの正体を探ったことがバレて・・・・・・」 ギアッチョは唇を噛んで怒りを耐えていた。ギリギリと音がするほど噛まれた唇からは、彼らの心を代弁するかのように血が流れている。 「・・・ホルマジオ イルーゾォ ソルベはどこだ?」 リゾットが二人に向き直るが、彼らは俯いたまま黙って首を横に振った。 「クソッ・・・!お前達・・・ソルベを探せ!!」 リゾットは焦燥感も露に叫んだ。 そして場面はまた一つ飛ぶ。 ギアッチョ達はアジトに集合していた。彼らの足元の床には、七十サント四方程の箱が数えて三十六個転がっている。 その箱にはガラスのケースに額縁を嵌めたようなものが入っていて、その中に何か気持ちの悪いものが、 ――・・・そんな 彼らは最後の一つまで開封して、やっとそれが何かに気付いた。 ――やめて ・・・いや、解ってはいたが・・・気付かない振りをしていた。彼らが送られてきた順にそれらを並べてみると、 ――お願いだからもうやめて・・・! 三十六個に斬り分けられた、輪切りのソルベが、 ――あぁあぁああああああぁああああッ!!! ルイズはいっそ気絶してしまえたらどんなに楽だろうかと思った。 しかし今はただギアッチョを通して彼の過去を見ている「意識」だけの状態であるルイズには、気絶どころか顔を覆うことも背けることも出来ず・・・彼らの為にただ涙を流すことすら出来なかった。 しかし、眼前の場面は冷徹なまでに滞りなく流れ続ける。自分達を嘲笑うかのように警告の道具としてソルベを惨殺したボスに、誰もが怒りを必死に押し殺す中―― バギャアッ!!! ギアッチョの我慢は限界を超えた。 「あの野郎ォオオォオォォオオーーーーーーーーーーーッ!!!!」 テーブルを叩き割り、ギアッチョは天地が割れんばかりの声で叫んだ。 「殺すッ!!!オレが殺してやるッ!!!」 額縁を梱包していた箱を踏み破りながら、ギアッチョは悪鬼の如き凶相で扉へと向かう。 プロシュートが「早まるんじゃあねぇ!」と手を伸ばすが、ギアッチョは彼に眼も向けずにその手を払いのけた。 しかし、その先でギアッチョの足がピタリと止まる。扉の前に、リゾットが立ちふさがっていた。 「どけよ・・・リゾット!!」 怒りに沸き立つギアッチョの双眸がリゾットを射抜く。しかしリゾットは充血した両眼でギアッチョの視線を真っ向から受け止めた。 「リーダーとして・・・ギアッチョ、お前を行かせるわけにはいかない」 「何故だッ!!」 ギアッチョは激昂して叫ぶ。 「ええ!?オレ達は一体何年屈辱に耐えてきた!?命を賭けて組織の敵を排除し続けてよォォーー・・・オレ達は文字通りパッショーネに命を捧げてきたッ!!いつか忠誠が報われる日が来ると信じてなァァ!! それが何なんだこのザマはッ!!オレ達の誇りだけじゃあ飽き足らず、ボスの野郎はソルベとジェラートを無惨に殺し・・・そしてその死まで侮辱したッ!!ここまでされてよォォォー!!一体いつまで耐え続けろっつーんだッ!!」 ギアッチョは怒りに任せてまくし立てた。 「落ち着けギアッチョ・・・! オレは・・・いや、オレ達の誰一人としてこの状況を受け入れている者はいない・・・ だが耐えるんだ!」 リゾットはそう言うと、ギアッチョが何かを言う前に続ける。 「ボスの正体を探ろうとしたんだ・・・オレ達が関わっていようがいまいが、ボスは既に・・・間違いなくオレ達を監視下に置いているはずだ そんな状態で一体何が出来る・・・?刺し違えるどころか、ボスに辿り着くことすら出来ないだろう」 ギアッチョはぐっと言葉を詰まらせる。 「今は伏して耐えるんだ・・・ ボスを倒す『チャンス』が来るまで!」 リゾットの眼は『覚悟』している者の眼だった。ギアッチョは壁を一発猛烈な音を立てて殴りつけると、その拳を震わせながら収めた。 ルイズは今度こそギアッチョの気持ちを理解した。彼女の耳には、食堂でギアッチョが叫んだ言葉が木霊していた。 『オレ達の命は安かねェんだッ!!!』 これだけの言葉に、一体どれほどの無念が込められていたのだろう。 ルイズにはもう結末が分かっている。リゾットの部下は、全員が死亡する。 ならば例え彼がボスに打ち勝ったとしても、一体その勝利にはどれほどの意味があるのだろうか? 仲間を失くし、ボスを殺して生きる目的までも失ってしまったならば、リゾットはもはや一人で生きていけるのだろうか。 そして、殆ど全ての仲間を失って唯一人生きながらえてしまったギアッチョは? 己が立っていた足場を失い、拠り所にしていた支えも失い――彼は一体何を思って生きているのだろうか。彼は自分を命の恩人だと言う。だけどそれは本心からのものなのだろうか?自分はギアッチョに、ただ終わることすら許されない痛みを与え続けているだけなのではないか―― ルイズには何も解らない。ただひたすら辛く、そして悲しかった。
https://w.atwiki.jp/steve600/pages/351.html
釘宮理恵の主人公ボイスが話題を呼んだ「ツンデレアニメ」(笑)。基本的に世界観が中世ヨーロッパに近いが、設定上貴族のため一部名前が長いキャラは端折っている。第三期まで含む。 アニエス・ミラン(アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン) アンリエッタ・トリステイン(アンリエッタ・ド・トリステイン) イザベラ・エレーヌ エレオノール・ラヴァリエール(エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール) カトレア・ラヴァリエール(カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ) キュルケ・ツェルプストー(キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー) クリスティナ・オクセンシェルナ(クリスティナ・ヴァーサ・リクセル・オクセンシェルナ) ケティ・ラ・ロッタ(ケティ・ド・ラ・ロッタ) シェフィールド・ミョズニトニルン(ミョズニトニルンは「虚無の使い魔」としての名) シャルロット・エレーヌ(タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン) ) シルフィード・イルク(シルフィードは使い魔としての名、イルクは同族間での呼び名「イルククゥ」から) ティファニア・ウエストウッド ベアトリス・クルデンホルフ(ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ) マチルダ・サウスゴータ(マチルダ・オブ・サウスゴータ) ミシェル・ガナーズ(アニメ版オリジナルキャラクターでミシェルという名前のみしか設定がなかったが、銃士隊副官ということでガンナーズ=ガナーズに) モンモランシー・ド・モンモランシ(モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ) ルイズ・ラヴァリエール(ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/915.html
※タバサが平成版ガメラに登場するギャオスを召喚。 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐1 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐2 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐3 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐4
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1669.html
「ローゼンメイデン」の蒼星石と「仮面ライダーカブト」の矢車想 第一章 ゼロの使い魔 緑と蒼の使い魔-01 第一話 召喚
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/626.html
翌日。いつものようにフレイムをギアッチョの監視に行かせたキュルケは、彼らが馬に乗ってどこかへ出掛けた事を知った。ここ数日でギアッチョを危険だと感じた事はなかったし、もうぶっちゃけ監視とかしなくてよくね?時間の無駄じゃね?と思いつつあったキュルケだが、学院外に出るという今までに無いパターンだったので念の為もう一日だけ監視を続行することにする。 キュルケが急いで支度を済ませて廊下に出ると、ルイズの部屋の前で棒立ちしていた男と眼が合った。松葉杖をつき、服の下からは包帯が見えている。ギーシュ・ド・グラモンその人であった。 「・・・あなた何してるの?」 キュルケはいぶかしげに尋ねる。 「・・・や、やあキュルケ ちょっとルイズに用があるんだが・・・まだ寝てるのかここを開けてくれなくてね・・・」 ギーシュはばつの悪そうな顔をしながら答えた。 「用?あなたがルイズに?またあの子に何かしようとしてるんじゃないでしょうねぇ」 「そ、それは違う!僕はただルイズに謝ろうと・・・」 聞けばギーシュは二股をかけており、そいつがバレた上にビンタでフられてムカムカしていたところにルイズとぶつかってモンモランシーの為の香水がブチ割れて、彼は怒りで周りが見えなくなってしまったのだという。 「・・・呆れた 完全に逆恨みじゃない あなた貴族としてのプライドってものがないの?」 二股のくだりだけはキュルケに文句を言われる筋合いはないはずだが、概ね正論だったのでギーシュは黙って耐えた。 「それで、謝りたくてやって来たんだが・・・」 「ルイズならもういないわよ」 「な、なんだってーーー!?」 物凄い顔で驚くギーシュにキュルケは溜息を一つついてから、 「ルイズと一緒にギアッチョもいるんだからどっちか一人は気付くでしょ 常識的に考えて・・・」 とのたまった。その「ギアッチョ」という言葉に、ギーシュの体がビクリと反応する。 「・・・そ、そそそういや彼もいるんだったねぇ・・・ハハハ・・・ハ・・・」 ギーシュにとってギアッチョは相当トラウマになっているようだった。ヒザが滑稽なぐらいガクガク笑っている。 あんな目に遭っておいてトラウマになるなというほうが無理な話ではあるが。 「私はこれからタバサに頼んでシルフィードでルイズ達を追いかけるつもりだけど・・・あなたはどうする?」 キュルケの助け舟に、「是非とも一緒に・・・」と叫びかけたギーシュだったが、 「・・・ちょ、ちょっと待ってくれたまえ ルイズ『達』ということは・・・」 「勿論ギアッチョもいるわよ」 ビシッ!と心臓が凍った音が聞えた。ギーシュは「・・・あ・・・あう・・・」とまるで懲罰用キムチでも食らったかのように呻いている。 そんなギーシュを見てキュルケは更に溜息を重ねると、 「どの道ギアッチョはルイズの使い魔なんだから、いつでもあの子と一緒にいるでしょうよ ルイズが一人になる隙をうかがうよりは今特攻したほうがスッキリすると思うけど?」 生きていればね、と小さな声で付け加えてギーシュを見る。 「き、聞えてるぞキュルケ!やっぱりダメだ・・・ここ、こっそりルイズに手紙を渡して人気の無いところへ呼び出して・・・」 常軌を逸した怯え方である。殺されかけたという事に加えて、自分の魔法をことごとく破られ跳ね返されたという事実が彼の恐怖を加速させていた。 キュルケは呆れを通り越して哀れになってきたが、いい加減出発しないとシルフィードでもルイズ達を見失うかもしれない。 これを最後にするつもりでキュルケはギーシュに発破をかけた。 「あなた少しは男らしいところ見せなさいよ こんなところをあの使い魔が見たらまた『覚悟』が無いとか言われるんじゃあないの?」 「――!」 その言葉に、ギーシュは動きを止めた。彼は何かを考え込むようにわずか沈黙し、真剣な眼でキュルケを見る。 「・・・ねぇ君 『覚悟』って一体何なんだろう」 先ほどまでのヘタレ具合とは一転、彼の眼には苦悩の色が浮かんでいた。 「あの男――ギアッチョに言われたことがずっと耳から離れないんだ 『覚悟』って何なんだ?彼と僕と、一体何が違うんだ? ギアッチョと僕を隔てる、絶対的な何かがあるのは解る だけど一体それが何なのか、いくら考えても答えが出ない」 ギーシュの懊悩は、キュルケには解らない。あの男の真の凄み、そして恐ろしさは、対峙してみなければ理解は出来ない。ギーシュはそう知りつつも、誰かに疑問をぶつけずにはいられなかった。例えギアッチョと同等の能力を持っていたとしても、 自分は永遠に彼に勝つことは出来ない。そうさせる何かが、あの使い魔にはある。 自分にはそれがない。その事実がただ悔しかった。 「あの決闘で――自分がどれほど自惚れていたのかを思い知らされたよ」 ギーシュはうつむいて言葉を吐き出す。 「・・・そして どれほど愚かだったのかも」 なまじっか顔と成績がいいばっかりに、高く伸びていたギーシュの鼻をヘシ折れる生徒は存在しなかった。そのギーシュを完膚なきまでに叩きのめしたのは、タバサでもキュルケでも、マリコルヌでもモンモランシーでもなかった。 ゼロと蔑まれていた少女、その人間の、しかも平民の――加えて言うならば顔もよくはない――使い魔だったのである。 ギーシュのプライドは粉々にブチ割れた。そして同時に、自分がどれほど他人を見下していたかを理解した。 「こんな屈辱に――ルイズはずっと耐えてきたんだ ・・・僕は 僕はどうしようもなく馬鹿だった」 彼女に謝罪しなければならないと言うギーシュの眼は、紛れもなく本気だった。 タバサはキュルケ達の頼みを快諾した。他でもない唯一の親友キュルケの頼みだという事もあるが、あのギーシュがそりゃもうジャンピング土下座でもしそうな勢いで頼み込んで来たのである。 それも己の利益の為ではなく、純粋に少女への謝罪の為とくれば、いくら虚無の曜日とはいえタバサも力を貸すにやぶさかではなかった。 そういうわけで彼女達は今タバサの使い魔である風竜、シルフィードに乗ってルイズ達を追っている。竜の背中でタバサは中断していた読書を再開し、キュルケはしきりとシルフィードを褒め称え、ギーシュは勢いで飛び出してきたもののやっぱりギアッチョが怖いらしく、時折キュルケの口からギアッチョの名が出る度にビクビクと震えていた。 「ギーシュ あなたいい加減腹をくくったら?」 ちょっと男らしい事を言ったかと思えばこれである。キュルケはまたも呆れていた。 「そ、そんなこと言ったって怖いものはしょうがないじゃないか!自分の魔法で全身蜂の巣にされる恐怖が君に分かるかい!?」 ギーシュがまくし立てると、 「自業自得」 タバサが活字に眼を落としながら呟く。それを聞いたキュルケが思わず噴き出し、ギーシュはもういいよとばかりにがっくりと肩を落とした。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/406.html
―眼を開いた時、彼の眼に飛び込んできたものは満天の青空だった。 青空・・・? バカな・・・オレはさっき死んだハズだ 延髄を「ブッ刺されて」よォォ・・・! そうだ、覚えている・・・奴らの『覚悟』に負けたことを 「―何だァ~?・・・っつーことはよォォ・・・ ここは天国・・・いや 地獄ってわけかァ?」 爆風の中から現れた男はよく解らないことを呟いている。それを認識したルイズは、しかしその認識を疑わざるを得なかった。 爆風の、中から、現れた、男? 男・・・つまり人間。人間・・・つまり? 現れた男は・・・どうみても貴族には見えなかった。つまり。 平民。平民を召喚してしまった。 「冗談でしょ・・・?」愕然として呟くルイズに、周囲から更に追い討ちがかかる。 「あいつ、平民を召喚しやがった!」 「サモンサーヴァントで平民を召喚するなんて聞いたことないぜ!」 「流石はゼロのルイズ!俺たちに出来ないことを平気でやってのけるッ!」 「そこにシビレないし憧れもしない」 しかしルイズはそれに怒るどころではなかった。強くて美しい使い魔を召喚すれば、散々自分を バカにしてきた奴らを見返すことが出来る。家族に胸を張って会うことが出来る。 彼女はそれを期待していたし、自分ならきっと召喚出来るという根拠の無い 自信もあった。それが、こんなヘンな髪型の平民を召喚してしまうなんて! ―とりあえず、彼は状況を把握することにした。 「城・・・いや砦か?よくわからねーが・・・ここはその中庭って所か? いよいよ天国じみてるじゃあねーか!ええおい?」 そこまで考えて彼は前方を見る。ド派手な髪の少女がそこに立っていた。 「・・・天使にゃあ見えねーな」 そして彼はふと思いつく。もしかしてこれはスタンド攻撃ではないか?既に死に体だったはずの自分をわざわざ攻撃してくる理由など無いとは思ったが、警戒するに越したことはないと彼は判断した。 ルイズは覚悟を決めて―というよりは全てを諦めて―男に話しかけた。 「・・・あんた、誰?」 ドグシャアア!! 言い終わる間もなくルイズは首根っこをつかまれ、そのまま地面に叩きつけられた。 「いっ・・・!!な・・・何をするのよ!貴族にこんなことをしてただで済むと・・・ 痛ッ!?」 叩きつけられたものではない―焼け付くような擦り切れるような名状しがたい痛みを感じて、ルイズは首をつかんでいる手を見る。 「何よこれ・・・ まさか・・・魔法・・・!?」 男の手を中心に、ルイズの体は首から胸にかけて完全に凍っていた。 「ここはどこだ?てめーはオレに何をした?3秒で答えな・・・首をブチ割られたくないならよォォ」 ルイズは一瞬で理解した。冗談で言っているんじゃあない、こいつの眼にはやると言ったらやるスゴ味がある! 「こっ、ここはトリステイン魔法学院で!あんたは私が召喚したのよ!!」 ・・・ 数瞬の沈黙が流れ。 「魔法だと?てめー・・・イカレてるのか?それともバカにしてんのかァァ~?」 「う、嘘じゃないわ!ここはトリステイン王国のトリステイン魔法学院であなたは私が サモンサーヴァントで召喚した使い魔なの!!」 「・・・つまり ここは魔法の学校で てめーはオレを魔法で呼び出したってワケか?ガキ」 「そっ、そうよ!解ったのなら早く手を―」 「・・・ブチ・・・割れな・・・」 「なッ!?」 尋問は失敗、このガキは死んでもオレに何かを喋る気はねーらしい。男はそう判断したようだった。しかし首に力を入れようとしたその時、男の鼻先をかすめてサッカーボール大の火球が地面に激突した! 「何だァァ~?スタンド攻撃かッ」 男が火球の射出地点とおぼしき場所に眼を向けると・・・そこには燃えるような長髪の少女がいた。 「何だかよく分からないけど・・・あなた、その子から手を放しなさい!さもないと容赦しないわよ!」 「キュ・・・キュルケ・・・」 バッ! 「容赦しねェだとォォ~~?なめてんのかァーーッこのオレをッ!!」 男がルイズを投げ捨てて立ち上がると、その体からは壮絶な冷気が噴き出しはじめた。 「いいだろう てめーら全員氷づけにしてからゆっくり尋問するのも悪かねーッ」 そして男は自らの力を―スタンドを、発現させる。 「ホワイト・アルバムッ!!!」 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/itmsanime/pages/1157.html
【作品名】ゼロの使い魔 〜三美姫(プリンセッセ)の輪舞〜 OP 【曲名】YOU'RE THE ONE 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜三美姫(プリンセッセ)の輪舞〜 ED 【曲名】ゴメンネ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□
https://w.atwiki.jp/anime_impression/pages/186.html
ゼロの使い魔~双月の騎士~ レビュー (ジャンル:ファンタジー、ラブコメ) 全12話 監督:紅優 アニメーション制作:J.C.STAFF 評価 ストーリー キャラクター 声優 映像・作画 2点 2点 16点 16点 合計36/100点 感想 ラブコメ作品なのに戦争をテーマにしています(笑) 才人は平和主義者でルイズは名誉の為なら死ねるという事で対立します。 突然の事だったから私も見ていて呆然としましたが、 冷静にならなくてもこの作品で描く内容ではないと思います。 人を殺し殺される戦争は愚かな行為であるのは誰もが認める事だと思います。 名誉の為なら死んでも良い、貴族の誇りだとか、そういうのも違うでしょう。 しかしその程度の説得力もこの作品にはありません。 ストーリーに都合の良いように無理矢理二人を対立させてもねぇ。 もしも真剣にこのテーマを描きたいなら、 アニエスとコルベールをメインキャラにすべきでしょう。 しかしそれでは全くの別作品でしかないわけです。 私だったら無理な事はせず、 前作のようなラブコメを作ればよかったと思います。 何故この作品でこのテーマを描こうとしたのか?さっぱり分かりません。 「ゼロの使い魔~双月の騎士~」アニメ公式サイト